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名探偵がやって来た
駅で電車の写真を撮っていたら、思いがけない人物を見かけました。三年前、関西のとある市を訪れた際にお世話になった女探偵さんです。確かお名前は「江楠真姫奈(えくす まきな)」さんだったかな。 その当時、私は現地で撮影道具一式を置き引きによって失い、警察署に相談に行ったのです。そうしたら、警察より有能な探偵がいるという話を警官から聞いたので、その探偵さんに頼ったのでした。 江楠さんはその日のうちに、私の道具全てを取り返してくれました。あちこちの質屋に売られていた道具を回収し、犯人は警察に逮捕させ、全てを鮮やかに解決して見せたその手腕に私はいたく感心したものです。 ところが江楠さんが言うには、自分は普通の探偵ではなくてダーティープレイが得意なだけだという事でした。何でも、弟が極道の若頭をしている関係で裏社会に顔が利き、また自分の住む市の様々な人物の弱みを握っている事でかなり好き放題に他人を動かす事が出来るだけなのだと。「調査」するのではなく「脅迫」して情報を向こうから持ってこさせ、自分は煙草をふかしながら指示を出して問題を解決する。それが彼女のスタイルなのでした。 そんな彼女が自分のホームグラウンドを出てくるのは、いわば蜘蛛が自分の巣を離れるようなものです。単なる旅行なのか、それともこの町で何かやる仕事があるのか・・・。いずれにしても、あまり積極的に関わるのは止めておく方が良さそうです。私も知らない内に彼女に「利用」されてしまいそうですから。 【1枚目】ホームに降り立った江楠さん。すでに何か含みのある表情です。 【2枚目】私がお世話になった時に記念で撮った江楠さん。この当時25歳なのにヘビースモーカーなんて、肺は大丈夫なのでしょうか。