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Prototype 2024-03-08

あらかじめ用意していたのか、絢奈は片手にガラスでできた小瓶を持っていた。 上品なアンティークの装飾が施された瓶の中には、艶のある暗褐色の液体がなみなみと満たされている。 「絢奈、それは……?」 「わたしのお気に入りのシロップなんですよ。味見してみますか?」 絢奈は小瓶の蓋を開けると、人差し指の先にシロップを垂らして僕の前に差しだした。ほっそりとした白い指先を口にくわえると、ほんのりと顔を赤らめて唇を綻ほころばせる。 口の中に、チョコレートの甘みと指先の熱が広がった。バニラエッセンスの風味の中に微かすかに混じった、花のような香りが鼻腔の奥を通り抜けていく。上品な甘みと厭味いやみのない苦みが絶妙なバランスで調和しており、ホットケーキにかかってるチョコレートソースのような味を想像していた僕は、思わず感嘆の声をあげた。 「美味しい……」 「ふふ。でしょう?」 指先で、てらてらと光る唾液をぺろりと舐めとると、絢奈は蠱惑的な笑みを浮かべた。濃紅色の小さな舌の色が、やけにくっきりと僕の目に灼きつく。 うちの風呂場の何倍もの広さを誇る浴室の床では、安っぽいシルバーのエアマットが、相変わらずの存在感を主張していた。 エアマットに敷かれたバスタオルへまたがって手をつく彼女と、正面から向かいあう。絢奈は小瓶を手に取ると、瓶の中身を自分の身体へと傾けていった。 「ほら、先生が欲しかったチョコレートです♥」 とろりとした褐色のシロップが、生まれたままの裸身をいやらしく彩っていく。彼女に促されるまま、僕はなだらかな稜線の乳房に口を付けた。

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ネットの片隅に生きる、なんちゃって物書きもどき。自作小説の表紙や挿絵をAI生成してます。画像生成はNAIを使用。主にPixivに生息。

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