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褐色の夢、蒼穹に消ゆ

2024年09月29日 16時01分
使用モデル名:CustomModel(その他)
対象年齢:全年齢
スタイル:リアル
参加お題:

ボボ・ディウラッソの街は、埃っぽくて騒がしい市場の喧騒に包まれていた。香辛料の匂いと混ざった砂埃が漂い、南に向かう旅人たちが行き交う。この街で僕が出会ったのは、燦々とした太陽に焼かれた褐色の肌を持つ一人のエルフの戦士、ジェリアだった。 「ちょっと!どこ見てるのよ!」 突然感じたのは、ジェリアの鋭い声。彼女は腰に手を当て、ジロリと僕を睨みつけていた。深く青い海のような瞳がその表情をさらに強調している。彼女の肌は小麦色、まるで太陽の下で育ったような輝き。 「え、いや、別に……ただ、君が美しいなって思っただけだよ」 「はあ?冗談、顔だけにしろよ!」 ジェリアは鼻で笑いながら、僕を一瞥し、再び祈りのポーズに戻った。彼女はこの街に立ち寄るたびに、モスクに向かって何かを祈っている。何を祈っているのかは知らないけど、その横顔はどこか神聖で、そして強さを感じさせた。 「なあ、君ってさ、ゾウの群れを操れるって噂があるんだけど、本当?」 僕が尋ねると、ジェリアは少し得意げな顔をして肩をすくめた。 「操れるというか、心で通じ合うのよ。ゾウたちは私を信じている、それだけのことよ」 彼女の言葉には何の疑いもなかった。まるでゾウと心を通わせるのが当たり前のことのように。 「じゃあ、次の町までゾウで一緒に行こうか?」 「ふん、あんたについて行く理由なんてないわよ。それに、恋と一緒だな。勝手に期待して、勝手に裏切られるだけよ」 ジェリアはそう言い放ってから、歩き出した。僕はあまりにもあっさりとした彼女の拒絶に肩を落としつつも、どこか彼女のその態度に惹かれ続けていた。 それから数日、僕はジェリアとともにボボ・ディウラッソの周辺を旅した。 ある夜、僕たちはログキャビンで夜を過ごすことにした。星が瞬く夜空の下、ジェリアは一人静かに夜空を見上げていた。僕が隣に座ると、彼女はふっと息をつきながら言った。 「お前、いつまで私についてくるつもりなの?」 「君がいなくなるまでさ」 「バカね、消えるのはお前の方かもしれないのに」 ジェリアは意味深に笑った。 ジェリアと一緒に旅を続ける中で、僕は彼女の魅力にどんどん引き込まれていった。彼女の自信に満ちた態度や、気まぐれで無鉄砲な行動。それでも、どこか人を惹きつける魅力がある彼女に、僕はすっかり心を奪われていた。 しかし、楽しい時間はいつまでも続かない。僕は自分の国へ戻らなければならない時が来た。国からの急な召集が入り、南の旅を一時中断することを余儀なくされたのだ。 「ジェリア、実は俺、国に戻らないといけないんだ…」 そう告げると、ジェリアは驚いた様子も見せず、むしろどこか寂しげな笑みを浮かべた。 「そう…まあ、旅なんてのは続けられる保証なんてないわよね」 「でも…必ず戻ってくるよ。君を迎えに」 僕は真剣な眼差しでジェリアを見つめた。 「冗談、顔だけにしろよ」 ジェリアはいつものように冷たく言い放ったが、その瞳の奥には微かな期待が見え隠れしていた。彼女は決して感情を露わにしない。強さを装っているのだろう。しかし、その強さが彼女の魅力でもあった。 「本気だよ、ジェリア。必ず迎えに来る。君を放っておくわけにはいかないんだ」 そう言いながら、僕は彼女に誓った。いつの日か、再びボボ・ディウラッソに戻り、彼女を迎えに来ると。 ジェリアはその言葉に対して何も返さず、ただ夜空を見上げた。その沈黙の中で、僕たちはお互いに言葉以上の何かを感じ取っていた。 「恋と一緒だな、待ってるだけで何も進まない」 彼女がぼそっとつぶやく。僕はその言葉を胸に刻みながら、国へ帰る決意を固めた。 静寂の夜、その星空は無限の広がりを見せ、雲一つない蒼穹が広がっておりました。まるで世界の果てが手に届きそうなほど、清らかな空気が全てを包み込み、淡い月の光が優しく地上を照らしております。 ジェリアの背中はその静寂の中、ひっそりと溶け込み、彼女の存在はまるで夜の風のように儚く、しかし確かにそこにありました。広がる砂漠は無限の地平を描き、まるで時間そのものが止まったかのように、時折吹く風が穏やかな波紋を作り出します。 その彼方には、遠く彼女の祈りを受け取るモスクの尖塔が影絵のように浮かび上がり、天に向かってそびえているかのように見えます。星々はその上で煌めき、永遠の旅路を語り続けます。 彼女がやがてどこへ行くのか、誰も知りません。ただ、その背中に揺れる髪と、小麦色の肌だけが、夜の風に乗って夢のように消えてゆくのでございます。 そして、僕はその背中を見送りながら、心に誓いました。いつか、必ず彼女を迎えに来ると。そして、彼女とともに旅を再び続ける日が来るまで、その誓いは消えることなく、星空に刻まれ続けるのです。

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ガボドゲ
2024年10月01日 02時17分

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いいねコメントありがとうございます。忙しくなって活動を縮小しています。返せなかったらすみません。

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