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尾根裏の散歩者

2024年09月09日 15時01分
使用モデル名:ProfiteroleMix
対象年齢:R15
スタイル:イラスト
デイリー入賞 190
参加お題:

幽魅の調査を江楠さんに頼んでから数日後。江楠さんが神妙な面持ちで私の家を訪ねてきました。 「早渚君、突然すまないねェ。例の件の進捗についての報告だよ」 「いえ、大丈夫です。何か分かりましたか」 江楠さんは、二枚の写真を取り出して机の上に裏向きで伏せました。 「まずは経緯から話そうか。警察の『友人』に話を聞いたところ、藤巳幽魅の死亡届および行方不明者届は無かった。そこで次に、この町近辺で遭難事故の起こる可能性があるエリアの管理人達を訪ねて回ったところ、T山で君の話した特徴と合致する女性を見たという証言が出た」 「T山・・・ですか」 そう言えば、幽魅は恋人と山でキャンプをしていた気がすると言っていました。もしかするとその山が・・・。 「女性は恋人らしき男性と一緒だったそうだ。そこで私はインドア喫煙者の肉体に鞭を打って登山に踏み切った訳だ」 「・・・すみません」 「ククッ、これも仕事の内さ、気にしなくて良いとも。・・・そして私は山の尾根に差し掛かるあたりで、これを見つけた」 江楠さんが写真を裏返すと、そこにはそれぞれスニーカーが撮影されていました。片方は白ベース、もう片方はピンク色ベース。しかし、私の目はもっと別の特徴を捉えていたのです。 「・・・これ、血痕ですか」 「見ての通りだよ。そうそう、ちなみに白スニーカーの方は、つま先が崖下を向いていた」 揃えた靴が崖下を向いていた・・・それは、つまり。 「飛び降り・・・ですか?なら、この血は一体」 「思うに無理心中じゃあないかい?女を殺して崖下に落とし、男も靴を脱いでその後を追った、とは考えられないか?」 江楠さんが神妙な顔で訪ねてきた時から分かっていた。決して気分の良い話ではないと。しかし現実に突き付けられると、やはり胸が苦しいものです。この場に幽魅がいなくて良かった。 「警察の『友人』に頼んでこのスニーカーを秘密裏に鑑識に回してもらった。結果、ピンクのスニーカーに多くついていた指紋はデータが無かったが、白のスニーカーの指紋は前科者のものだったよ」 「誰の物か分かったんですか」 「名前を知っていると君が余計なトラブルに巻き込まれないとも限らないから伏せさせてもらうが、罪状で言うなら器物破損、窃盗、婦女暴行あたりだねェ。典型的なチンピラ上がりの犯罪者さ」 まさかそんな男と幽魅が恋人関係だったとは思いたくありませんが、状況はそうとしか思えません。しかし、余計なトラブルとは何でしょうか。 「もう一つの可能性、男は女を殺した後、自分の靴を残して心中を装い逃走したパターンさ。もしこっちだったら、君が藤巳幽魅と『彼』の名前をセットで聞きまわっている、という事が万一にでも『彼』の耳に入れば、君や妹の安全は保障が無いだろう。だから『彼』の名前は伏せているのさ」 さすがは江楠さんです。そんなところまで考えてくれていたとは。 「遺体が上がるかはかなり怪しいねェ。目撃証言から一週間経っている。山の獣に荒らされていても不思議はない。捜索は始まっているが、期待はしない方が良さそうだ」 「分かりました、ありがとうございます」 私が頭を下げると、江楠さんはいつもの笑顔になりました。 「ククッ、こちらこそ毎度ありだ。今回はいい収穫もあった事だし、しばらくはこちらにいるつもりだ。また進展があったら連絡するよ」 江楠さんは玄関をくぐると、早速タバコに火をつけて立ち去っていきました。・・・さて、幽魅になんと伝えるべきでしょうか。

コメント (2)

ルノハ
2024年09月10日 17時49分
猫団子🐈‍⬛🍡
2024年09月09日 15時43分

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 全年齢~R15を中心に投稿します。現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っていますので、基本的にR18作品はほぼ投稿しません。※運営様によってR18に分類される可能性はあります。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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