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除草作戦(1/5)

2024年10月20日 03時00分
使用モデル名:ProfiteroleMix
対象年齢:全年齢
スタイル:イラスト

晶さんの婚約が発表されるパーティの当日がやってきました。宿城サイトはこれから車で現地に向かうようですが、晶さんは前日からレイクサイドリゾートホテル『スイレン』に宿泊し、宿城が来るまでの間にメイクを整えたりしてパーティに備えています。私は招待客でありカメラスタッフでもあるので、スーツに身を包んで朝一でスイレンに行き、晶さんの部屋を訪ねました。 「おはようございます、晶さん。いよいよですね」 「おはようございます、早渚さん。今日はよろしくお願いいたします」 桜一文字さんは晶さんの身支度の手伝いを終えて、今はイベントホールの避難経路などのチェックに回っています。何かあった時に重要人物を逃がすための備えとするのが一般的なのでしょうが、私たちにとっては宿城の手先がどこから妨害に来るかとか、宿城がもし逃げた場合どのルートを通るかなどの確認でもあります。 「晶さん、不安じゃないですか?」 「ふふ、わたくしはちっとも心配などしておりませんわ。早渚さんや江楠さんがあれだけ頑張ってくれたんですもの。むしろ、早渚さんの方こそ緊張されているのではなくて?」 「・・・いやあ、実を言うとそうですね」 カメラマンというのは普通裏方なので、大勢の前でスピーチする機会なんて一流の写真家とかでもなければそうそうある事ではありません。今日は特にヤドリギカンパニーの取引先社長たちや金剛院家の関係者も訪れる大きなパーティです。緊張しないというのは無理があります。 「早渚さん、お口を開けてくださいませ」 「?」 言われた通り口を開けると、晶さんは自分の手の平を指でなぞってから私の口の前にかざしました。 「人という漢字を書いて飲み込むと緊張がほぐれると言いますわ」 「それは思い込みの力によるのでは・・・」 とはいえ、折角気を使ってくれたのでありがたく飲み込ませていただきましょう。食べるようなジェスチャーをして見せると、晶さんは不思議そうに首をかしげました。 「あら?直接口をつけないんですの?」 「え」 直接って、それは晶さんの手の平を舐めろって事でしょうか。 「ああ、申し訳ありません。わたくしの手が汚れているかもしれませんものね。しっかりアルコール消毒するところからすべきでしたわ」 「いや、そもそも直接口をつけるおまじないじゃないんですけど」 私が戸惑っている内に、晶さんは手の平を除菌してもう一度人の字を書いて差し出してきました。 「はい、あーん、ですわ」 「ええ・・・」 ど、どうしたらいいのか・・・女性の手の平を舐めとるなんて、とても倒錯的な行為のような気が・・・逆に緊張がどんどん高まってしまいます。 「な~にイチャイチャしてるんですか~」 「あら桜一文字。おかえりなさい」 助かった!今のうちに話の軌道を戻そう。 「晶さん、桜一文字さん。パーティのスピーチで私が操作ミスを装って証拠を出しますが、その際に宿城の抗議や妨害があると思います。もし私が早々に無力化されたら、プランBとして江楠さんを頼って下さい。パーティ中は近くで待機してくれてるそうですから」 「ええ、分かりましたわ。とはいえ、早渚さんが取り押さえられる事は無いと思います。ねえ桜一文字?」 「ですね~」 桜一文字さんがにやりと笑いました。無性に頼もしいな、こういう時。 「へい凪くーん。調子はどうだーい?」 晶さんの部屋を出て、廊下を歩いていると幽魅が現れました。 「体調に問題はないよ。幽魅、どうしてここに?」 「玄葉ちゃんから頼まれてね。凪くんのそばにいて何か危険があったら守ってほしいって」 玄葉、幽魅にそんな事頼んだのか・・・。まあ、相手が相手だから心配なのは分かりますが。 「守るって言ったって、幽魅は飛行や壁抜けはできても力は生前と変わらないんでしょ?」 「けど他の人には見えないし、モノを触る事はできるからね。凪くんを攻撃しようとする人がいたら、その人に全く警戒されずに目突きとかできるし、後ろからカトラリーで刺したりできるよ」 「なんか殺意高くない!?」 幽魅が悪意のある笑顔を浮かべています。こんな攻撃的な思想を吹き込んだのは誰だ。・・・玄葉しかいないな。 「足ひっかけて転ばせるくらいにしといてよ。目突きは大怪我させちゃうって」 「はーい」 本当に分かってるのかな・・・。一応幽魅の動向にも目を向けておこう。 ●数時間後・リゾートホテル『スイレン』近くの森にて 「さぁて、早渚君は上手くやれるかねェ。私の出番が無ければいいんだが」 江楠真姫奈は森の中に身を隠し、タバコをふかしながら湖畔に建つスイレンを眺めていた。時刻はもう昼に近くなり、あと十数分でパーティの開催時間となる。真姫奈は駐車場に停めてある自分の乗ってきたレンタカーを見やった。その中には、『保険』が乗せてある。 「こいつを使うと大事になるから、できればパーティ中は使わずに済ませたいんだがねェ」 真姫奈は短くなったタバコを携帯灰皿にしまい、新しい一本に火をつける。それはあたかも、決戦の狼煙のようであった。 「宿城サイト失脚作戦・・・『除草作戦』、開戦といこうか」

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五月雨
2024年10月20日 12時00分
猫団子🐈‍⬛🍡
2024年10月20日 09時53分

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2024年7月よりAIイラスト生成を始めた初心者です。 全年齢~R15を中心に投稿します。現在はサイト内生成のみでイラスト生成を行っていますので、基本的にR18作品はほぼ投稿しません。※運営様によってR18に分類される可能性はあります。 ストーリー性重視派のため、キャプションが偏執的かと思いますがご容赦願います。

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