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お友達にはナイショ
「凪さん、しー・・・しーですよ・・・」 私は今、鈴白ちゃんと二人、洋服店の試着室で息を潜めています。目と鼻の先にいる鈴白ちゃんは下着姿で、彼女の香りに包まれておかしくなりそうです。いったいどうしてこうなってしまったのか、冷静さを取り戻すためにも思い返してみます。 そもそも今日は、鈴白ちゃんに「一緒に映画を観に行きませんか」とお誘いを受けて、噴水公園で待ち合わせをしていたのでした。二人とも、予定時間よりもかなり早めに現地についてしまい、時間が浮いたので鈴白ちゃんが洋服店に寄りたいと言い出したのです。 彼女が試着室に入るのを見届けて、その前で待っていたのですが、女性服売り場ですので周りは女性だらけ。テンション高めに服を選ぶ女性たちに囲まれて、ちょっと居心地の悪さを感じていました。 その時不意に、試着室の中に引きずり込まれたのです。鈴白ちゃんはとても動揺した様子で、「友達の声が聞こえたので、男の人と一緒にいるのを見つかるのが恥ずかしい」的な事を告げて身を隠すように要求してきたのでした。 「い、行った・・・かな」 鈴白ちゃんは私にお尻を向けて、外の様子を窺い始めました。これ以上この状況が続くと間違いが起きかねないので、私としては助かりました。 「あっ・・・な、凪さん。その、あんまり見ちゃ・・・やー、です・・・」 今更私の視線を気にされても遅いんですよ、鈴白ちゃん。今度この子には男性との距離感をしっかり教えないといけなさそうです。 ・・・うん?シャッター?知らない内に切られてましたね。何か?