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相棒のようすがおかしい (1)

「……獣人にはね、定期的に発情期がやってくるの」 ミアは顔を赤らめながら、ぽつり、ぽつりと俺に話してくれた。 発情期の間、獣人は人間よりずっと性欲が強くなること。今回が彼女にとって、初めての発情期であること。自分自身、誰にどう相談すればいいのかわからずに、ずっと一人で悩んでいたこと。 ミアの告白を聞きながら、ただの体調不良と勘違いをしてたことを猛省した。穴があったら入りたいとは、まさにこの事だ。 獣人にそういう特性があること自体は知識として知っていた。孤児だった彼女を引き取ろうとした時に聞かされていたし、そのことを仲間から揶揄されて喧嘩になったりもした。 ただ、それが目の前の少女とまったく結びついていなかっただけで。 ……いや、違うか。日に日に女の子っぽくなっていくミアに、そういう気持ちを抱く後ろめたさが、無意識に俺を遠ざけていたのかもしれない。 「と、とにかくだ。ミアはしばらくここで休んでろ。当面の仕事は、俺のほうで何とかするから」 「ま、待ってよ、セイルっ!!」 いたたまれなくなって、席を立とうとした俺の袖を、ミアがむんずと掴んだ。紅潮して潤んだ瞳が、こちらをじっと見つめている。今にも泣きそうな表情をして、上擦った声で彼女は言った。 「……ボ、ボクだって、最初は何とかしようと思ったんだ。隠れて、その……ずっと自分でシてて……だけど、全然治まってくれなくって……。それどころか、どんどん、どんどん抑えられなくなっていって……。もう、我慢できなくて、どうにか、なっちゃいそうなんだよ……」 ベッドに手をつき、荒い息をあげながら潤んだ瞳でにじり寄ってくる。その目はまるで獲物を狙う獣のようで、ただならぬ気配に思わずたじろぎそうになる。 「ミア……その……」 「ねえ。セイルだって、ボクが言ってる意味、わかるよね……?」 心臓が早鐘のように鼓動を打つ。投げかけられた言葉を頭の中で必死に反芻し、カラカラに乾いた喉で言葉を紡いだ。 「ほ、本当に、いいんだな……?」 「……まだこれ以上、ボクに恥をかかせるつもりなの?」

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ネットの片隅に生きる、なんちゃって物書きもどき。自作小説の表紙や挿絵をAI生成してます。画像生成はNAIを使用。主にPixivに生息。

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