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自転車の(黒)妖精

「自転車レース?」 ハーフエルフの魔術師シルビアが素っ頓狂な声を上げる。 「うむ、自転車は体幹を鍛えるのに有用でな。われも体術の教練で多少の嗜みがある」 兄である、オークの戦士にして賢者・エンハンサーのゴルドンが答える。 王都に存在する賢者の学院、二人はそこにそれぞれ准導師、臨時体術教官として籍がある。 別に賢者の学院と言っても、魔法や学問だけを教えているわけではない。 頭脳も魔法も人並みの体力がないと極めるのに支障があるとして、運動や体術も教えているのだ。 もっともその比率は少ないが。 「魔法や魔動機術に頼っておらぬので、誰でも乗れるし、値段もそれほどではない。街の車輪ギルドが後ろについて祭りにするとのことだ」 「ふーん」 シルビアは冒険者でもあるので、頭脳や魔法に頼りっぱなしではなく、それなりに体力がある。 あまり興味はなさそうだ。 「我が部族からも、幾人か参加するそうだな。シルビア、主はどうだ?」 「遠慮しておきます……」 (オークが何人も街中走り回ったら、はた迷惑じゃないかしら……) 果たして、当日。 「どけどけ!!おらが一番じゃあ!!」 「なにお、おでの道をふさぐんじゃなか!!」 「そりゃ!!かっ飛ばせ!!」 「なぬしやがっど!!、走りっこじゃなくて拳でかたつけるか!!」 シルビアの予想通りというか、当然というか、オークたちが他の種族を置き去りにして、傍若無人に走り回り、 はたや乱闘にまでなろうとしている。 「おぬしら!!やめぬか。部族の恥となるぞ!!」 「じゃませんどくれ!!若長!!」 ゴルドンと言えどもオークたちを抑えるのは拳をもってしかない様子だ。 とそこへ・・・・・・。 「お前たち、何をやっている?自転車は楽しんで乗るものだぞ」 そのまますいーと走り去っていく、ダークエルフの美女を見て。 「ふつくしいだ……」 「おでの嫁にしたい……」 「おぬしら、我の母者に欲情するでない・・・・・・」 ゴルドンは、あらためて自分の母親の底深さを思い知った。

さかいきしお

コメント (5)

のんですの♪
2024年01月18日 01時23分
もこもこ
2024年01月16日 17時53分
ガボドゲ
2024年01月16日 10時07分
bonkotu3
2024年01月16日 08時52分
DAZAI@AIイラスト
2024年01月16日 06時31分

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