汝の為すべきこと

ぜんざいさんと、引き続きコラボさせていただきました。 https://www.aipictors.com/users/morikusa/?type=image ファリア神の神官拳士ぜんざい様のご助力で、ダキニラたちは危機を脱したようです。 問題があるようでしたら、削除しますね 「くっ、魔族が襲撃してくるなんて！！」 （こんな時に・・・・・・） 心に迷いを持っているダキニラ。 （やるしかないか） ダキニラは、目立たないように携帯していた短剣を引き抜く。 駅のプラットホームで話した、金髪にベレー帽をかぶった眼鏡の女性も、拳を握りしめて立ち上がる。 嫋やかな見た目とは裏腹に、グラップラーだったようだ 「ちっ、畜生！！」 ダキニラの動きは精彩を欠いていて、いつもの思い切りの良さと鋭い身のこなしが見られない。 それも当然かもしれない・・・・・・。 心に迷いがある状態での、神への祈りは通じないのだ。 人型の小柄な魔族の動きに翻弄されて、何度か魔法と鋭い剣がダキニラを襲う。 それでも、生まれ持った素養と練度によって致命傷は避けていたのだが 魔族はそこで攻め口を変えた。 「危ない！！」 近くで震えていた、幼児に向かって魔法を放つ気配を見せる。 「あくっ！！」 魔法の直撃がダキニラを襲った。 重傷を負いながらも幼児をかばったダキニラは、追撃を行おうとする魔族を睨みつけた。 金髪の女性グラップラーは、オークより巨体の魔族、熊よりも巨大な魔獣と単身対峙している。 救援にこられそうもない。 そこに。 戦場の喧騒に染み渡るような音色が響き渡る。 フルートだ。 どこか物悲し気な、だけど懐かしい、郷愁を誘う旋律だった。 「ノスタルジーの呪歌ですね・・・・・・」 ２体の魔族を相手に互角以上の戦いを繰り広げていた、グラップラーが呟いた。 「えっ、うそ・・・・・・、引いていく」 暴れ回っていた魔族たちの攻撃が止むと、彼らは潮が引くようにゆっくりと速く、姿を消していく。 「この馬鹿！！何やってやがる！！」 フルートを手にしたハーフエルフの少女が怒った顔でダキニラの前に立った。 「自分のケツも拭けねえくせに、人様の世話してんじゃねえ！！」 しかし、ダキニラの怪我の様子をみて、顔を顰めて。 『神様よ。この狐女は、おせっかいで身の程知らずで世間知らずでつける薬もないような馬鹿だけどよ。 一応てめえで、馬鹿を考えてまじめに真剣に、てめえのやりたいことをやって、怪我したらしいから、自由と平等のお宗旨に従って、お情けで怪我を直してやってくれ』 真面目な神官が聞いたら卒倒しそうな、多分に感情が入りすぎている謎の言葉を呟く。 ものすごく不機嫌そうなハーフエルフの手が、なぜか神聖な光を帯びて、ダキニラの怪我が癒えていく 「ごっ、ごめん、リリスちゃん・・・・・・」 「謝んじゃねーよ。あたいが好きでやってるんだ！！」 「あっ、ありがとう・・・・・・」 ダキニラは、幼子を抱きしめたまま、片目をつむってウインクした。 （『汝が為すべきことを為すがよい』のですよ。 言葉が違っているようで、目指すところは同じなのかもしれませんね） そんな様子を見聞きしていた、波打った金髪の神官拳士は、赤いフレームの眼鏡の下で、片目をつむるのだった。