密林の黒天使

森の中、湿った空気、霧の中を泳ぐようにして銀髪のロングヘアーの少女が進んでいる。 以前活動していた熱帯のジャングルとは違い、 厚く湿ったような、冷たい霧の中の慣れない密林だ。 迷彩服を着て、弾帯を装着して拳銃やナイフ、バックアップを背負った上に、ライフルを手にしている。 完全武装だ。 く、奴はどこにいるのかしら。 気配は感じるのに、近いのか遠いのか、すぐ隣にいるのか……？ 部下はどこに行った？全員戦死か……。 その時、すっと、赤い光点がシルビア伍長の迷彩服の胸元に浮き上がる。 霧が出ているので、レーザーの光跡が一条の光になって、気付いた時には……、もう遅かった。 「シルビア伍長、あなたは戦死です」 霧と藪を縫うようにして、金髪ポニーテールの微笑んだ顔が現れる。 暴食魔王だけど……、やっぱり密林の悪魔ね……。 1人で小隊全員に戦死判定を食らわせたブロント少尉に、シルビア伍長は畏怖と戦慄を覚えざるを得なかった。