人間が仙女様の鈴を…認められたというのですか
森へ続く道。 通いなれた道だけど、今日は一人の女性に通行止めされていた。 エルフのようだけど、雰囲気が違う。 呪術を使うと言われるドルイドなのかもしれない。 すでに何らかの術式を使用していたようで、 彼女に近づくほどに僕の体が重くなっていく。 自分の体重が何倍にもなったような感覚。 歩くために足を踏み出す動作どころか、 立っていることすら困難になってきた。 エルフは僕が地面に突っ伏すのを見届けると、 ゆっくりとこちらに歩み寄り、腰につけていた僕の鈴を手に取ってまじまじと観察していた。 気の済むまで鈴を観察したエルフはようやく術式を解いた。 僕を強盗だと思ったようだ。 この鈴を人間が持つのはとても珍しいことで、 謝罪と共に鈴のことについて教えてくれた。 どうやら僕に鈴をくれた女性は仙女で、この森の守り人のような存在らしい。 この鈴は仙女の持ち物で、守り人が認めたものに託されるという。 話を聞いた限りだと、とても貴重なお宝かもしれない… そう思って改めて観察していると、彼女も同じような鈴を僕にかざした。 どうやら、この鈴は森の通行証のようなものみたいでいくつも存在するみたい。 元々この森に棲んでいない者が出入りすると、 感知した種族が鈴の有無を確認し、持っていない場合は監視するシステムなんだそうだ。 害をなしたり、森の神域に足を踏み入れるような者であれば相応の罰を与えるために。 だから、これまで僕のことをいろんな種族が見ていたのか…