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⑧_VRから始まる異世界GPT

第10話:暗闇の陰謀



翌朝、確かな足取りとは裏腹に、
ハルキの心臓はしきりに鼓動を刻んでいた。

不安と心配が頭を遍し、それが彼の視界を歪ませていた。



側には、捕虜のふりをしているネーラがいた。
彼女の表情は冷静そのもので、
瞳の奥には何も恐れていないという強さが輝いていた。


昨晩、カルロスが提案した計画を実行するために、
二人は厳重に警備された城門へと向かった。


ハルキの姿は警備隊の制服に身を包み、
頭には硬いヘルメットを被っていた。


ハルキは振る舞い、視線、全てが本物の警備隊と
変わらないように気をつけていた。



城門にたどり着くと門の前に
警備隊が2人立っていた。





「何の用だ?」と問いかける
厳つい警備隊の目が、彼ら二人を貫いた。



ハルキは深い呼吸を一つし、
「逃亡者をつかまえた。
 国王陛下に直接報告するためにここを通りたい。」
と述べた。



「陛下にだと?そんな情報は入っていないぞ。」
警備隊が怪訝そうに聞いてきた。


ハルキの心臓は今にも痙攣しそうなくらい
ドキドキしていた。


その時、ネーラがハルキの脇腹を肘でつつき、
何かを伝えようと囁いた。

声は小さく、彼だけが聞き取ることが
できるように、彼女は言った。



「落ち着いて。例の作戦に切り替えなさい。」


それを聞いたハルキは深呼吸をし、
ゆっくりと語気を強めて話し始めた。


この女、国王にとって重要な情報を持っている。
 国王自身が話を聞きたがっていた。
 君たちが止めるなら、それを国王に伝えてほしい。

ハルキの言葉はまるで押し問答を一掃するような力を持っていた。


警備隊が彼ら二人をじっと見つめた後、
しぶしぶと門を開けると「さっさと行け」と言った。


ハルキは一瞬だけ安堵の表情を見せるが
すぐに厳格な表情に戻り、ネーラを連れて城内へと進んだ。


城の内部は石造りで、壁には古い絵画や彫像がびっしりと並んでいた。
そのあたり一帯は静寂に包まれ、
一歩進むごとに重圧がハルキの心に圧し掛かってくる。


「ここからは地下牢へ向かう。」
ネーラは歩きながらそう言った。


カルロスいわく、地下牢を抜けた先の通路が比較的、警備が手薄らしい。
ネーラの指示に従い、二人は広大な城の地下へと降りていった。
地下に到着した二人は、誰もいないことを確認し、物陰に隠れた。
それからハルキは、ネーラの手枷を解いた。


「なんとかやり過ごしたみたいだね。」
ハルキの言葉に、ネーラは鋭い視線を向けた。


「まだこれからだ。」
彼女はそう言うと視線を地下牢の扉へと向けた。


地下牢の扉を開けた瞬間、
二人の視界に飛び込んできたのは、予想外の情景だった。







重厚な鉄の扉の向こうには、巨大な石造りの空間が広がっており、
その真ん中にはまさしくジープ国の国王が座っていた。



国王のまわりには、武装した守護兵たちが立っていて、
彼らの中には人間ではないモノも混ざっていた。


ハルキとネーラは驚愕して一瞬足を止めたが、
すぐに状況を把握し、警戒しながら進み始めた。
国王は彼らに気づくと、座ったままでも威厳を保つ深い声で
「よく来たな」と言った。


周りを囲む守護兵たちからは強い敵意が滲み出ていて、
その厳つい表情と獣のような目つきは、
まるで戦闘を待ちわびる猛獣のようだった。



ネーラはその雰囲気に気圧されながらも、
淡々と状況を把握し、戦闘体制を整えていた。


二人は、その全てを見渡しながら進んでいき、国王の前で立ち止まった。


「国王陛下、我々は…」
ネーラが話し始めると、国王は手を挙げて彼女を止めた。


「今は何も言わなくて良い。まずは私の話を聞くが良い。」


ハルキとネーラは互いに一瞬目を見交わし、
静かに話を聞くことにした。

国王が話し始めると、その声は驚くほど冷静で、
統治者としての威厳を感じさせた。

しかし、その話の内容はハルキとネーラを凍りつかせた。


「われわれジープ王国は、デーモンたちと同盟を結ぶ計画を進めている。」

その言葉が地下牢の石壁に反響し、二人の驚愕をより一層深めた。
それはまさに思いもよらない事実だった。

守護兵たちの姿から、それが真実であることがうかがえた。

彼らの中には、一部が人間を思わせる面影を持つ者もいたが、
その目はデーモン特有の紅色で、彼らがデーモンであることを物語っていた。


国王の言葉はさらに続き、
「われわれとデーモンとの同盟は、新たな力のバランスを作り出す。
新しい時代を築き上げるための手段だ。」と冷静に語り続けた。
しかし、その言葉には何か人間らしさを感じさせないものがあった。

ネーラはハルキに向かって小声で
「国王は洗脳されているのかもしれない」と耳打ちした。
それを聞いたハルキは、彼女の言葉を真摯に受け止め、
改めて国王を見つめ直した。

国王の冷たい言葉が再び牢内に響き渡った。
「ネーラ、お前はわが同盟計画の邪魔となる存在だ。
だから、外交という名目でリンナと旅をさせたのだ。」

その言葉がハルキとネーラの心をさらに締め付ける。
状況はより一層深刻になっていた。
守護兵たちはすべてデーモンで、国王もデーモンの手に落ちている。


この状況はまずいんじゃないか…。



ハルキは心の中でそう呟きながらネーラを見つめた。
彼女の瞳には冷静さを保つ意志が強く込められていた。


「ハルキ、私が合図をしたら思いっきり目をつむれ。
それまで後ろで下がっていろ。」

ネーラがハルキにだけ聞こえるように伝えた。


「えっ?」ネーラの言葉にハルキは驚きを隠せなかった。


目をつむってどうするんだろう。
ハルキはそう思いながら言われた通り彼女の後ろまで下がった。


「ネーラ、この状況で勝てると思うのか?」

国王の言葉に守護兵たちは一歩前進した。


「そうですね。暗くてよく見えないし。これで戦うのは不利でしょう。」

ネーラはそう言うと、手から小さな炎を出し、勢いよく相手側に向かって投げた。


しかし、その炎は誰にも当たらず、石の壁にある小窓にぶつかり留まっていた。


「何のつもりだ?」国王は怪訝そうに言った。


「ちょっとだけ明かりをつけました。これで少しは戦いやすくなるでしょう。」

ネーラはそう答えると、片手を前に出し、
今度は大きな炎を生み出した。


「さぁ、始めましょうか。」


ネーラの言葉で、守護兵たちは武器を構えて戦闘態勢をとった。

⑧_VRから始まる異世界GPT

2023年06月30日 15時17分
対象年齢:G
テイスト:イラスト
デイリー入賞 1 位
ウィークリー入賞 1 位
マンスリー入賞 1 位

カルロスの計画により、兵士に変装したハルキと捕虜の振りをしているネーラは 国王のいる城に侵入することを試みるが…。 【前回のお話】 https://www.aipictors.com/works/62407/

tokitoki

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