私なんかで、欲情するのかい?
着替えてくると言って家に帰り、現れた彼女は扇情的だった。 普段から隠しきれていない肉付きは、ぴったりのズボンとインナーで覆っているも、形も大きさも太さも丸出し。 指をひっかければボロンと零れそうな乳房は、すぐ隣にあるビールジョッキより更に大きい。 露骨な男なら、きっとあの太ももから攻めるのだろう。彼はそう思いながら――――自分の顔を覗くジト目に気付く。男の下心を見透かした女の、失望と軽蔑で凍てついた瞳。 「…………私なんかで、欲情するのかい?」 彼女は、ゆっくり、冷ややかに、ため息を1つ。 ビールとどちらが冷えているだろう。カウンター越しのマスターは、誰にも知られず冷や汗を伝わす。だが、彼の熱は逆に燃え上がる。長い付き合いから言葉に秘められた、彼女の感情がわかってしまって……。