…あぁん、転んでしまいましたわぁ
わざとらしく転んでちらちらとこちらに目線を送って来る。 僕の脇にいる男剣士が駆けつけ、鼻の下を伸ばしながら手を差し伸べた。 男僧侶も駆けつけ、彼女の小さな擦り傷に貴重な回復魔法を使用した。 4人でパーティーを組んでクエストを受けているが、 彼女を中心になんだか空気がギスギスし始めている気がする。 僕は狩人として索敵と遠距離戦闘、 男剣士は近接戦闘、 男僧侶が回復や魔法支援、 彼女は魔法使いとして攻撃や魔法支援…のはずだった。 彼女はスケスケでひらひらの布が薄い衣装をまとい、 大きな胸の谷間や白いふとももをことあるごとにアピールしてくる。 彼女の言動があざといのもあって、 剣士と僧侶のふたりは彼女にいいところを見せようとして無茶ばかりする。 剣士の切り傷に回復を使用しないとか、 僧侶が敵に狙われてもかばおうとしなかったり、 お互いのフォローも上手くいっていない。 普段は男3人支援しあいながら気楽に冒険できていたのに。 彼女が加わってからいろいろとおかしい。 さすがに見てられないので僕が彼女に詰め寄ると、 彼女は涙を浮かべて剣士と僧侶に泣きついた。 …気付けば僕はパーティーから除名されていた。