…はぁ、目隠しですか?ご主人様がお望みであれば構いませんよ
半身サイボーグのメイドさん。 固くて冷たいパーツを忘れさせるほどに、 物腰が柔らかく、心が温かい。 僕のお願いに文句も言わず、優雅な仕草で目隠しをつける。 普段からあまりにもそつなく仕事を片付けていくので、 目隠しをさせることで、あたふたと困った様子を見てみたいという僕の我儘。 だが、彼女の動きはまるで見えているかのようになめらかで、 眼が見えないことにペナルティを感じさせなかった。 彼女は一通り仕事を片付けると、 僕に一礼して、微笑んで見せた。 僕の位置も完全に把握されていたようだ。 センサーでも使っているのかと疑ったが、 それを口にする前に彼女の言葉にさえぎられた。 フフ、長年仕えているのです。 お屋敷がいくら広くとも、目を瞑って歩き、 お掃除をして、調度品を磨き、花に水をやり、配膳する程度であれば、 体が覚えていますわ。