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愛の重いお狐様と再会した話
小さいころ、神社の境内でよく遊んでくれたお社の守り神、お狐様。 優しく私を包み込むような彼女の笑顔を今でも鮮明に憶えている。 数年ぶりに帰省した私は彼女に会いに神社まで足を運ぶことにした。久しぶりに出会った彼女は変わらぬ笑顔で私を本殿の中まで招いてくれた。 私の近況や思い出話など、いくらか会話を交わすと彼女は神妙な面持ちで話し始めた。 「不思議なものじゃな… 何百年と生きてきたというのに、おぬしのいなかったこの数年間、たった数年間じゃ。ただそれだけの短い時間であるというのに、ぽっかりと心に穴が開いてしまったようで、耐え難いほどに苦しかったのじゃ。 …それも今日でおしまいじゃな。 よくぞ戻ってきてくれた、今度はどこにも行かせはせぬぞ?」 彼女は、昔と変わらぬ私を包み込むような笑顔を向けながらそんなことを口にした。