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魔導騎士vs戦闘機 ss有
轟音を響かせながら、飛行する中、レーダーに1つの光点が浮かび上がる。 「レーダーに反応あり、こいつがターゲットか?」 光点との距離は徐々にだが、縮まっている。 「ええ、そうよ。彼、、、仮称”X”だと見て間違いないわ。念のため、衛星からも確認するわね」 しばしの沈黙。戦闘機の中には、振動と轟音のみが流れている。 「相棒!さっさと撃ち落として、いつもの店に行こうぜ♪あっちで何体も落としてるのに司令部は何を警戒してんだか」 コックピットに味方の通信が入る。腕は確かだが、そそっかしいあいつからだ。 「そうだな・・・」 相槌は打ったものの、1体だけで、こちらに侵入をしてきたことは今まで一度も無い。というより、侵入そのものを許したことが無かった。 異界と繋がるゲートは一方通行。帰りは特殊な装置を使用して帰ってくる。 侵略はしたいが、向こうから侵略はされたくないからだ。 向こうからはそれなりのものを奪ってきた。技術、貴金属、人、そして命。 漂う思考を通信機のノイズが散らす。 「確認がとれたわ。その光点が”X”で間違いない。即座に殲滅、との命令よ」 「了解した」 僚機に命令を出す。 「各機、速度を上げミサイルの射程距離まで近づけろ。目標をロックしたらそのまま待機だ」 戦闘機のスロットルを解放し、速度を上げる。 同時に傘型に並んだ他4機の戦闘機も加速していく。 「騎士サマ1人片付けるのに、ジェット5機はやり過ぎだぜ。燃料の無駄だしよ」 また、あいつからの通信だ。こいつには緊張感ってものが無いのか? 「静かにしろ。確実に仕留めるぞ。今まで通りだ」 「アイアイサー♪」 より振動と轟音を増した戦闘機がみるみる光点に近づいていく。 もうすぐ、射程距離に入る・・・・・・入った。 「各機速度を落とせ。ターゲット”X”をロックオンしろ」 指示を出しながら、自身も操作を開始する。ロックオンした際の甲高い電子音が、耳を刺す。 ピッピッピ・・・ 「各機、そのまま待機」 そのとき、光点がさらに近づいてきた。速度は、上げていない。 向こうから、急速に近づいてきたのだ。 奴らの飛行原理は良くわかっていないが、人間に耐えられるレベルの急制動ではない。 マッハ1.5から逆方向にそのまま、マッハ1.5で加速したのだ。 「各機、ミサイルを発射せよ!!そのまま散開!戦闘機相手のマニューバは恐らく通用しない!!」 即座にミサイルの発射を実行する。合計、15発のミサイルが閃光を上げて、ヤツ目掛けて飛翔を開始した。 同時に、機首を下げ加速を始める。 その時はヤツの姿が目に見える大きさになっていた。 そいつは、鈍色の銀の鎧にマントを翻し、剣を持っていた。 やつの声が戦闘機の轟音の中でも鳴り響く。 「貴様らが犯した罪の代価を支払ってもらう。覚悟せよ異世界人!!」 戦闘機がやつの足元の空間を潜り抜けていく。悪友のあいつも、右後方につけているようだ。 「うぉ~怖い怖い!ミサイルでも喰らってな!!ドン・キホーテ!!」 円を描くように遠ざかりながら、飛翔するヤツにミサイルが着弾するのを目視で確認する。 爆発の衝撃波が戦闘機を軋ませる。 「ひゅ~~♪どんなもんだ?ミサイルの味は・・・なっっ!!?」 そのとき、爆発の中から鎧が飛び出すのが俺の目にも映った。 飛び出した鎧はそのまま、悪友の戦闘機に取り付いた。 「クソッ!!マジかこの野郎・・・や、やめろぉぉぉぉぉ!!!!」 「その願いを貴様らが一度でも聞いたことがあるか?」 耳をつんざくような音がして、ヤツのガントレットが悪友の戦闘機の燃料タンクをぶち抜いた。 「汚物は焼却・・・だったか?クズ共め」 間を置かずに、戦闘機が大爆発を起こす。 「我が子の命を遊び半分で奪った貴様らは人間ではない。殺し尽くす」 5機の戦闘機はなすすべなく、爆発四散した。 「司令!戦闘機すべて大破しました。”X”はこちらへ向かっているようです」 「恐らく、ゲートの破壊が目的だろう。総員戦闘態勢、目標を殲滅する」 つづく・・・かも??