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奥さんとの想い出
バカンスから帰った後、アイツからの連絡はしばらくなかった。ようやくアイツが連絡をよこしたとき、彼は開口一番「今まで迷惑をかけてすまなかった」と謝罪した。話を聞くと、アイツは私がバカンス中に送った画像でお腹いっぱいになるまで満足したのに加え、奥さんと約一か月会えなかったのが相当堪えたらしい。もう二度と奥さんを手元から離さないと決意したとのことだ。いや、それは「寝取らせ」させる前に気付けよ……と突っ込みたいが、まぁアイツが正気に戻ったのは何よりだ。さらには奥さんがご懐妊されたとのこと。 「そりゃめでたい。おめでとう。お前もパパになるんだな」 「ありがとうよ。俺も生まれてくる子のためにも頑張らないとな」 「しっかりやんな。奥さんを大切にしろよ」 そんな感じで電話を切った俺は、とっておきのウイスキーをグラスに注ぎ、PCを起動してバカンス中に撮った画像フォルダを開く。そこには奥さんのあられもない画像と動画が多数。 (これも消去しないとなぁ……) まぁ、その前にもう一度奥さんとの想い出を振り返ってみてもいいか。 スライドショーで奥さんの裸体が表示されるディスプレイを眺めていると、彼女の眼差し、甘い匂い、柔らかな感触と切ない吐息が思い起こされる。私は、画面に向かってグラスを掲げ、 「……お幸せに」 と呟いて、様々な想いと共にウイスキーを飲み干した。